写真・図版
シリアで2017年12月、空軍基地を訪問したロシアのプーチン大統領(右)とシリアのアサド大統領(当時)。スプートニク提供=ロイター

 ロシア国営タス通信は12日、同国のプーチン大統領とシリア暫定政権のシャラア大統領が電話で協議し、現状について議論したと報じた。両国の首脳が協議したのは、暫定政権の発足以来初めて。アサド前政権を支援していたロシアと暫定政権の間には緊張が生まれていたが、互いに一定の歩み寄りを見せた形だ。

 タスによると、プーチン氏はシリアの統一や主権、領土保全を支持する原則的な立場を確認した。その上で、両氏はシリアにおける「持続可能な正常化」の確立に向けた取り組みが重要だと強調したという。一方、シリア国営通信は、プーチン氏がシャラア氏の大統領就任に祝意を示し、欧米によるシリアへの制裁解除の必要性について強調したと報じた。シャラア氏はロシアとの「強固な戦略的関係」を強調し、ロシアとの対話を継続する姿勢を示したという。

 暫定政権は、シリアの地中海沿岸部に残されたロシアの軍事基地について、ロシア側と協議を続けている。暫定政権のアブカスラ国防相は今月上旬、米紙ワシントン・ポストのインタビューで、シリアの国益に資するのであれば、ロシアが基地を維持することを容認する考えも示していた。

 一方、ロシアと敵対する欧州連合(EU)などは、シリアからロシアの影響力を排除するよう求めている。内戦で荒廃したシリアの復興を掲げる暫定政権は、EUや米国による制裁の解除を急ぎたい一方、ロシアからの経済や軍事的支援も取り付けたい考えとみられ、難しい立場におかれている。

共有